ものを作る町工場と聞くと、どんなイメージが思い浮かぶでしょうか。納期を守るための長時間、無理難題を言うクライアント、機械を使った危険な作業、「見て覚えろ」という職人社会…?実際、工業・製造業界にブラックなところが少なくなかったというのは否定できません。
誤解を恐れずに言うと、私たち三竹製作所は、お客様ファーストのスタイルも、古風な技術継承も、やめることにしました。
安定して質の高い製品を作り続けるには、作り手、つまり従業員の働きやすさが欠かせないからです。人は前向きに働いているときのほうが、いい仕事をするものです。そんないい仕事ができる環境を提供することが、会社の役割ではないでしょうか。従業員の意見を聞き、安全第一に仕事を教え、なるべくストレスは少なくする、そんな会社を目指しています。
もちろんビジネスですから、お客様がいないと会社は成り立ちません。しかしそれは、一緒に働く仲間も同様です。つまり対立構造ではなく、両輪の関係。
三竹製作所は、お客様の「これがほしい」と従業員の「これをやってみたい」のどちらも大切にしています。
以前は機械を使った仕事は危険で男性がする仕事、という認識がありました。しかし、従業員が安心して楽しく働ける場所になるよう意識改革を進めると同時に、性別や経験を問わず、やる気があるなら歓迎する、というスタイルへ変えました。
例えば、危ない仕事は危なくないように、けがをしないように、安全に関する指導は入念に行います。これは今も現場に立ち続ける会長や社長自らが、製造工程における危険を肌で知っており、どうすればいいかもわかっているからこそ。従業員の家族も安心できるような会社を目指しています。
また、未経験者でも分かりやすいように、皆で一つ一つ丁寧に進めていくことも重視しています。経験を重ねて学べることもありますが、口でも身振りでも、伝えられることは積極的に伝えます。
色々やりたい!と手を挙げてくれるなら、やってもらい、それで技術が向上すれば、評価や報酬に反映させます。当然と言えば当然ですが、従業員のモチベーションを上げるには欠かせません。
私たちはそんなふうに少しずつ会社を変えてきました。大切な従業員を、働くのが嫌になる環境で下を向いて働かせたくありません。働きやすい場所で前を向いて働くと、生産性も上がる、そうするとさらにやる気が出てくるし、お客様にとってもプラスになる― そんな好循環を生む環境が理想です。